現代における装身具の着用目的とは、Sheer pleasure(純粋な楽しみ)、Display of status(地位の証明)、Monetary value(貨幣価値)、Sensual appeal(官能的魅力)、intellectual content(知的内容によるセンスの表明)であるとRalph Turner*は1976年に出版された自著「Contemporary jewelry Critical Assessment 1945-75」の中で述べています。
素材の希少性や資産価値にたよる事なく成立した今日におけるコンテンポラリージュエリーの価値基準とは、まさに最後に述べられた intellectual content(知的内容)に基づいたものであると言えます。
本展では経済成長、グローバリゼーション、環境への意識変化の波を受けてきた1970年代以降に生まれた7名の作家達をご紹介いたします。彼らの作品発表の場は現在、日本国内のみならず欧米アジア各国のギャラリーやミュージアムを中心に展開され、それらは非常にインターナショナルな活動となっています。
独自の素材を媒体とし有機体の中の小宇宙を表現する加藤果鈴、繊細な色彩感覚によってうつろいと儚さの世界を彩る中島俊市郎、現代社会に対するシニカルな視点をポップに仕立てる小西潤、経時の中でさえも永続するフォルムに対する人間の原始的な美意識を探る墨屋夕貴、人生のスパイスとしてのユーモアをジュエリーという存在に軽やかに転化する三橋頼子、人間の心の機微を鮮やかな色層と立体感で構築する石田明里、環境と人間社会の繋がり方を斬新な素材表現を通し示唆する菊地ルイ。
作品に込められた各作家独自の考察や提案は、“身に着ける”という行為によって装着者のパーソナリティーと共鳴し合い、新しい物語を紡ぎだします。それは個人の主張となり、人と人、人とモノとの新しい関係を生み出す装置となることでしょう。

 

*Ralph Turner ヨーロッパを主体とした現代ジュエリーに関する批評、考察を広く執筆。主な著書に「Contemporary jewelry Critical Assessment 1945-75」、「Jewelry in Europe and America: New Times, New Thinking」、「The new jewelry : trends + traditions」「Contemporary Jewelry」など

 

アーティスト:
石田 明里加藤 果鈴三橋 頼子中島 俊市郎菊地 ルイ小西 潤墨屋 夕貴

 


 

Contemporary jewellery:
2011.12.22(Tue) – 25(Sun)
open: 11:00-18:00

 

乗敬寺
石川県金沢市彦三町1-13-32