私達は、装身具であるからこそ表現できる事とは何かを考えます。
なぜ自らの表現に装身具という媒体を使うのか、それは、その先に人が見えるからかもしれません。
装身具とは、最も身近なキャンバス(身体)に描かれる詩であると思います。
作品に人が参加すること、そこに人体が介在してはじめて成り立つアートなのです。

制作者は自らのテーマにそって自由に素材を選び、結合させ、再構築し、メッセージを込めます。
それは時に表層的では無く、作品の奥深くに、隠喩としてメタフォライズされている事でしょう。

作品を身体に装着することで感じられる物体の重さ、触れることで意識される身体感覚などは、身に着けるということで生じる特有の感覚世界です。
人はそれらを含む多くの感覚を使う事で作品に直接参加し、作者のメッセージや精神性とより深くつながることが出来るのです。

作品を身に着けた人物に対する、他者の視線 – 見せるもの、見るもの、見られるものの関係も装身具を一つの表現として完成する上で大切な要素となります。作品のメッセージは装着者のパーソナリティーと混ざり合い、新しい物語を紡ぎ出します。
それは個人の主張となり、人から人へと、更にその人を取り巻く環境、つまり社会へと繋がっていく- 作品をきっかけとして様々なダイアログ(対話)が生じ、人と人、人とモノとの新しい関係が作り出されていく事こそ、作品制作の重要な目的です。

それぞれの作品が表現する世界を通し、人々がより自分らしく、より自由に、自らの社会へのつながりを意識できること、そのためのコミュニケーションツールとして、また同時代性をも踏まえたアートの新しい手法として、装身具という表現体がより広く認知されていく事を私達は強く願っています。

ORIZZONTI